増え続ける不登校生徒と足りないフリースクール:何が問題?

「評価基準」策定の難しさ

ここまでフリースクールを自治体が支援する制度について調べてきましたが、
一方でいくつか課題が見えてきました。

長野県の認証型フリースクールで問題とされていたもの

先述した長野県の認証型フリースクールは、公的に支援するとなれば「運営が上手くいっているのか」を評価する必要があります。しかし、どのようにフリースクールという「第三の居場所」を評価するのでしょうか?

例えば、不登校生の復学率を実績だと捉えるのなら、フリースクールは「復学支援の場所」として役割が固定化されてしまう恐れがあります。

「フリースクールはこうあるべき」という画一的な枠組みで考えてしまうと、そこに通う子ども達を中心においた運営に支障が出る可能性があるのです。

これまで学校や大人が用意してきた枠に当てはまらない子ども達が集まっているのがフリースクールなのに制度によって枠を作ってしまうと、今までの運営がそのまんまに自由に出来なくなるのではないか。結局、子どものための制度にならないのではないか?(齋藤光代氏)

課題が残る中、長野県では実際に認証制度の運用がスタートしました。

制度策定の検討会議は委員を県内で公募し、有識者や学校・教委関係者のほか施設の運営者、不登校経験者、不登校児童生徒の保護者など当事者性の高い多様なメンバーで議論を進めたそうです。

都道府県レベルで当事者と共に仕組みをつくりあげることは、前例が多くありません。自他ともに認める「挑戦事例」であると言えます。

長野県だけの問題ではありません。フリースクールは民間で運営されていたため、評価や認証制度は今まで問われてこなかった側面です。公的な制度の枠組みに入れるのであればあり方を考え、定義する必要があります。

現時点でも悩ましい論点としては学びや、居場所の質をどのように評価するのか?誰が評価するのか?ということです。~中略

これまで、誰も公教育制度というものを問い直してこなかった訳ですね。今まで学校一択しかなかったものが、別の学び場も選択肢のひとつとして広く認知されることによって、学校関係者も自分たちの学びや自分の学習スタイル、指導スタイルはこのままでいいのかということを突きつけられる訳ですね。子どもを真ん中において、子どもの育ちや学びのあり方を考えていく。そうして学校関係者も、学校観や子ども観や指導観をもう一度考え直す起爆剤になればいいなと期待しています。(新井英治郎氏)

学校外の“学び場”とつながり、新しい教育のカタチを作れるか?信州型認証フリースクール制度の挑戦| 君の声が聴きたい (nhk.or.jp)

「信州型フリースクール」は2024年4月から運用開始されています。このように進んだ取り組みが全国に波及すれば、フリースクールの運営がしやすくなり、子どもたちの居場所が増えることが期待できますね。

まとめ

  • 令和4年度の文部科学省調査では、小中学生の不登校生徒数が過去最多の29万9048人、前年から22.1%増加した。
  • 不登校生徒の居場所としてフリースクールが挙げられるが、地域によってはフリースクールが不足している。
    • 特に地方ではフリースクールが足りず、教育機会を失い孤立する子供が少なくない。
  • フリースクールは運営資金の厳しい現実があり、公的支援が求められているが十分ではない。
    • 一部の自治体(鳥取県、茨城県、福岡県など)は補助制度を設けているが、支援額が足りない。
    • フリースクールへの理解が不足している自治体もあり、支援が行き届かないケースがある。
  • 東京都は間接的な支援策として、フリースクールに通う家庭に助成金(月2万円)を支給する制度を2024年に本格実施。
  • 長野県は「信州型フリースクール制度」を創設し、フリースクールの認証制度を導入。
    • フリースクールを公的に支援するための評価基準が必要。
      • 復学率などで評価すると、フリースクールの役割が固定化される恐れがある。
      • フリースクールの多様性を認めつつ、質をどう評価するかが課題。
  • 長野県の取り組みは全国的なモデルケースとして注目されている。
    • 学校関係者も含めた広い視点で、子供の育ちや学びのあり方を考えるきっかけになることが期待されている。
翔一
翔一

長野県のように、実行力のあるリーダーがいる自治体では不登校対策が進んでいますが、自治体ごとに支援の程度が異なるのが問題だと思います。

それに、進んだ取り組みが他の地域で知られておらず、関心も低いように思えます。

義務教育と比べ、表立った支援や評価が難しいのはわかりますが、新しい取り組みに挑戦しないと不登校問題は解決しないと思います。

進んでいる地域のノウハウを共有し、他の自治体も学ぶべきですね。

長野県のような進んだ事例を手本にし、交流を深める必要があると感じました。