学校で嫌がらせを受け、不登校や通学不安を抱える子どもへの対応について、保護者ができる具体的なサポート方法を解説します。 担任・スクールカウンセラー・行政支援・フリースクールなどの支援制度を、実例を交えて紹介します。

神奈川県在住 30代社会人
容姿がきっかけで部活でいじめられ、中学二年から卒業まで不登校を経験しました。
不登校の経験をプラスに変えて、気楽に人生を過ごしてもらいたい。自分の経験を今困っている不登校生と保護者に届けたいと思い、不登校支援を始めました。
不登校経験者へのインタビュー、コラム記事の執筆を2年以上続けています。
子どもが嫌がらせを受けてると知った時、保護者が取るべき行動とは
子どもが学校で嫌がらせを受けていると知ったとき、保護者は冷静に対処できるでしょうか?実際、私の母は私が学校で受けた嫌がらせを知ったとき、とても動揺していたのをよく覚えています。
子どもが嫌がらせを受けたとき、何をすべき?
率直に言うと、子どもの受けている嫌がらせを、すぐに解決することは難しいです。
子どもが状況を正確に話せないことや、加害者との関係が複雑な場合、学校側の対応に時間がかかることもあります。問題の全体像を把握するには、丁寧な対話と時間が必要なのです。
まず保護者としてはじめに取るべき行動は、「保護者は常に子どもの味方である」と伝えることです。
子どもは保護者が味方だと分かれば、安心感を得られます。子どもと「何を話しても、保護者は受け止めてくれる」という信頼関係を築くことが大切です。

保護者と子の信頼関係を大切にしましょう。
まず家族が味方してくれると、心強いです。
たとえば、子どもと友人間にトラブルがあって、原因が自分の子だったとしても、その場で「あなたが悪い」と叱責するだけでは信頼関係は生まれにくいです。
保護者は子どもに反省を促す役目がありますが、それはトラブルが解決したあとでいいのです。
一番問題なのは、子どもは保護者が自分の味方をしてくれないと感じて、話してもきっと理解してくれないだろう、と相談を諦めてしまうことだからです。
子供が学校を休みたいと言うときは
- 「お母さんとお父さんは、あなたを絶対に守る」と伝える
- 子どもが「何を話しても、保護者は受け止めてくれる」という安心感を優先する
- 学校を休みたいと言ってきたら、その場では理由を深掘りしたりせずに休ませる
もし子どもが学校を休みたいと言うのであれば、とにかくいったん数日程度、休ませましょう。
休む理由を聞かないのは、大抵の子どもにとって「休む」という行為に後ろめたさを感じて言い出しづらいものだからです。
一旦休んで子どもが落ち着いてから、詳しく事情を聞いてあげると、子どもは安心して悩みを共有できるでしょう。
- 「相手にしなければいい、気にしなければいい」という言葉をかける
- 子どもの話を最後まで言葉を聞かずに、遮ってしまう
- 子どもの落ち度を責めてしまう
- 学校・部活などの嫌がらせを受けている場所に無理やり登校させる
反対に、やってはいけない態度について考えてみます。
「相手にしなければいい」や「些細なことだから、気にしなければそのうち収まる」と全体的な無視を勧めたり、登校を促してしまうと、状況が悪化することが多いです。そもそも子どもは嫌がらせを我慢する・気にしないことが難しいから、保護者に相談しているのではないでしょうか。
その場しのぎの提案ではなく、根本的なトラブルの解消を進めないと、学校に通えなくなってしまったり、あるいは嫌がらせがエスカレートして解決が難しくなってしまいます。
また、子どもの話を最後まで聞かずにさえぎる、子どもの落ち度を責めてしまうなどの態度は避けるべきです。子どもは保護者に素直に打ち明けても、自分の味方をしてくれない、話しても嫌な気持ちにしかならない、と感じて相談を避けてしまうからです。

まずは、実態を受け入れる態度が大事です。
休みたい理由を深掘りしないのは、「後ろめたさを感じ、言い出しづらい」場合が多いためです。「なぜ休みたいのか」を聞くこと自体は大切ですが、曖昧な答えが返ってきても質問を重ねないようにしましょう。
理由を深掘りすると、子どもに「うまく説明できない」ストレスやプレッシャーを与えてしまいます。その結果、より言い出しづらくなり、状況を悪化させることがあります。
学校とどう連携する?
子どもが嫌がらせを受けていると疑われるのなら、まずは事実確認や問題解決のために、学校に働きかけるべきでしょう。
まずは担任の先生に相談する
子どもたちとの関わりが一番多い担任の先生に、まずは相談してみましょう。事情を知っているかもしれません。何か働きかけを提案してくれるかもしれません。
一方で、最初から校長や教育委員会に伝えることは効率的ではないので避けましょう。確かに、すぐに子供の問題を解決したい焦りから、即座に学校に動いてもらいたいと考えて、直接上層部へ働きかけたくなるかもしれません。しかし、いきなり教育委員会に相談した場合、学校側との話し合いを促されることがほとんどです。教育委員会は学校の運営を管理する組織であり、現場レベルの事情を把握しているわけではありません。まずは学校(特に担任)と連携したほうが、早期の解決に繋がります。
担任を飛び越えて、校長先生に相談することも避けましょう。担任の先生も人間ですから、「自分を信頼していない」と受け取られる可能性があります。不要なメッセージを送って悪印象を与えるのではなく、積極的に問題解決に動いてもらえるように、協力的に接することを心がけましょう。

基本的に最初から現場から飛び越えることはせず、まず担任の先生に相談しましょう。
それでも事態がよくならないようであれば、学年主任→校長と相談先をステップアップさせていくとよいでしょう。
モンスターペアレントと思われない、伝え方のコツ
子どものことを思うあまり、知らず知らずモンスターペアレントと思われるような態度を取ってしまうかもしれません。冷静に振る舞うことを心がけましょう。
怒りに任せてしまうと、「あれも」「これも」と色々な不満が出てきてしまいますが、「一度に伝える内容はひとつ」が効果的です。一度にいろいろ言ってしまうと、「不満の多い保護者」つきつめると「モンスターペアレント」だと思われかねません。ひとつの問題が解決すると、関連していた問題も一緒に解決していくケースもあるようです。
モンスターペアレントと誤解されやすい行動
- 相手側に寄り添うことをせず、一方的に意見をぶつけてしまう。
- 「どうして放置し続けるんですか」などと、相手側が対処していないと決めつける。
- 話し合いを拒否し、要求のみを突きつける
- 「学校も教育委員会も信用できないので、来週の月曜までに私の望む回答をください」などと、相手側に対してのリスペクトを欠いた一方的な要求をしてしまう。

ただ、こうした事態でなかなか冷静になるのも難しいですよね。
たとえば、担任の先生に対して「お忙しいところありがとうございます。ぜひ先生のお力をお借りしたいです」というように感謝と協力をお願いする言葉掛けをすると、教師も協力的になりやすい傾向があります。
そのために、相談の場では学校側の意見や事情にも耳を傾け、「一緒に子どもを助けたい」という姿勢で接しましょう。
担任の先生以外への相談(スクールカウンセラーや心理士)
子どもの心が傷ついていて、原因を解決すればいいだけではないことがあります。スクールカウンセラーや臨床心理士といった、心のケアに関するプロに相談をするとよいでしょう。ほとんどの学校にスクールカウンセラーが配置されていますから、最初のステップとして利用しやすくなっています。
どういうときにスクールカウンセラーを利用する?
子ども自身が「誰にも相談できない」「つらい」と感じているけれど、保護者や担任の先生には言いづらい場合などに頼りましょう。
スクールカウンセラーは子どもの心に関するプロですから、上手に聞き出してくれるかもしれません。
スクールカウンセラーへの相談方法
スクールカウンセラーに相談する場合は、まずアポイントメントの取り方を確認しましょう。(週1回のみなど、常勤でない場合も多い。)
一般的に、担任の先生や養護教諭を通じて申し込むことができますので、事情を話して、繋げてもらいましょう。

相談の際、「子どもが嫌がらせを受けている」と言うだけでなく、本人の言い分を客観的に伝えてあげるとよいでしょう。嫌がらせをしてくるのは誰なのか。どういう関係だったのか。きっかけは何か。嫌がらせはどのような内容なのか……と、明らかになっている事実を中心に伝えるのがよいでしょう。
本人の心理状態がわかると、カウンセラーは問題の解決方針を定めやすくなります。
その他行政の相談先
- こども家庭相談・児童相談所に相談。解決が難しくても、より適切な相談先を探してもらう。
- こどもの人権110番 法務省:いじめ などの電話相談窓口【こどもの人権110番】
- 自治体によっては案内ページを作成していることもあるので、お住まいの自治体にあるか確認する。
- 例:教育相談 横浜市
電話での問い合わせ例

小学5年の息子がいじめによるトラブルに遭っており、毎朝の登校を辛そうにしています。心のケアの専門機関や、相談できる窓口、また保護者としての対応についてアドバイスをいただける場所などがあれば、ご案内いただけますか?
子どもの心のケア
嫌がらせ問題を解決することも重要ですが、子どもの心のケアも欠かせません。子どもの気分が上向き、気持ちが回復できるように保護者は寄り添ってあげましょう。
「受け止めること」が一番の支えになる
- それはつらかったね
- 言ってくれてありがとう
感情が溢れだし、子どもが取り乱しても否定せず、そばに居てあげることが大切です。励ますよりも受け止める姿勢を示すと、子どもが安心して話せるでしょう。
- 元気を出して
- 頑張って
- どうして学校が嫌なの?
- いつになったら話してくれるの?
子供から嫌がらせの話を聞いたときに、とっさに励ますような言葉をかけないように気をつけましょう。「元気を出して」と声をかけることは一見よさそうですが、子どもに元気を出す気力すらなかったとしたらどうでしょうか。「元気を出せなくて、落ち込んでいるんだ」と、むしろ負担をかけてしまうことがあります。
無理に話させようとしない
「どうして学校が嫌なの?」「いつになったら話してくれるの?」こういった質問は、普段以上に神経質になっている子どもに、プレッシャーを与え、不安を増やすことにつながりかねません。
もちろん、保護者として、子どもが抱える問題をすぐにでも解決してあげたいと思うのは当然です。子どもが話したがらないと、ますます聞き出したくなるかもしれません。しかし、子どもが話せる状態ではないときに、問い詰めるように迫っても、かえって逆効果になってしまいます。
子どもが安心して過ごせるように、まずは家族の穏やかな時間を大切にしましょう。いつも通りの生活を心がけ、子どもが自分のペースで話し始めるのを落ち着いて待つこと。これも立派なサポートです。
日常の安心を積み重ねる
学校の話題を無理に出したりすることはせず、趣味や好きなことを話して、自然に笑顔になれる時間を多く作りましょう。
また、食事や睡眠などの生活リズムを整え、普段からの挨拶やスキンシップといった何気ないやり取りを大事にすることで、家庭がほっとできる場所になっていきます。
子ども自身の「乗り越える力」を信じる
保護者が子どものことを何とかしてあげたい、と思うのは当然のことです。ただし、その気持ちが強すぎると、子どもに負担をかけることがあります。「全部何とかしなきゃ」と思い詰めず、子どもの「乗り越える力」を信じてあげることも大切な支援のかたちです。
子どもが何かやりたいという意思を見せたら、出来る限り協力してあげましょう。物事が前に進んだとき、「自分でもやり遂げられた」と、子どもの自己肯定感も高まるでしょう。その積み重ねが「乗り越える力」を育むのです。

問題1つ1つに対して、保護者が先回りして答えを出すのではなく、「一緒に考える」ことが何より大切です。
保護者もサポートを受けていい
家族が悩んでいる姿を見せれば、子どもを余計に心配させてしまうと感じる人もいるでしょう。しかし、そんな姿を見た子どもは、自分のことを考えてくれていると感じるきっかけにもなります。

私が不登校だったとき、私以上に母親の心身が参ってしまったことがありました。
保護者が心身のバランスを大きく崩してしまっては、子どもを支えることも難しくなってきます。保護者が誰かに相談することも大切です。問題を解決していくためにも、自身が無理をせず、支えてくれる人や場所に助けを求めましょう。以下のような窓口は、保護者の悩みにも寄り添った対応をしてくれます。困った際には早めに相談して、悩みを抱え込むことはなるべく避けるようにしましょう。
- 全国共通の電話・オンライン相談:24時間子供SOSダイヤル、子どもの人権110番、チャイルドライン、いのちの電話、よりそいホットラインなど。いじめや心の悩み、緊急度の高い相談まで幅広く対応しており、全国どこからでも利用可能です。
- 学校・教育機関を通じた相談:スクールカウンセラーへの相談、教育相談センターのホットライン、文部科学省や自治体が案内する「地元相談窓口検索」など。学校現場でのいじめ対応や不登校支援、保護者向けアドバイスを受けられます。
- 地域・自治体・NPO等の相談支援:自治体の子ども家庭支援センター、児童相談所、地域子育て支援センター、NPOの専門相談窓口(いじめ防止協会など)、オンライン・メール相談も含め、多様な支援が受けられます。保護者自身のケアや家族カウンセリング、子どもの回復力を支える支援プログラムなどが提供されています。

子どもを支えようとするあまりに、保護者自身がすり減ってしまうことも珍しくありません。保護者自身も、スクールカウンセラーや児童相談所、保護者向けの相談窓口などに相談し、専門家の「助けを借りる」認識で進めましょう。
まとめ
- 嫌がらせを「すぐに解決する」のは難しいことが多い。だからこそ、最初にやるべきは子どもの心を守ること
- 子どもが休みたがるときは、問い詰めずに休ませ、落ち着いてから少しずつ状況を確認する
- NG対応(気にするな/無視しろ/話を遮る/落ち度を責める/無理に登校させる)は、相談が途切れたり、嫌がらせが悪化する原因になる
- 解決策は「親が代わりに戦う」ではなく、状況を整理して学校に提案するのが現実的
- 学校への相談は、まず担任を窓口にし、改善がなければ学年主任→校長へと、責任者へ段階的に相談する
- 学校への伝え方は、短くまとめると伝わりやすい
- ①事実(いつ・どこで・誰が・何を)
- ②子どもの状態(不安・体調)
- ③希望(安全確保・席配慮など)
- 「一度に全部要求しない」「アポを取る」「感謝+協力依頼」の姿勢が、意図しないモンスターペアレント認定を避けて、効果が出やすい
- 心のケアは、励ますよりも受け止めること。話せない時期は「待つ」も立派なサポート
- 保護者自身もメンタルを消耗しがち。カウンセラー・行政窓口・親の会など外部支援を利用する
- 回復が進んだら、「学校に戻る」だけでなく、別室登校・時差登校・部分登校・家庭訪問支援・フリースクール(通学/オンライン)・転校など、子どもの状態に合う通い方を選べる
